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『四月になれば彼女は』/川村元気

4月、はじめて付き合った彼女から手紙が届いた。
そのとき僕は結婚を決めていた。愛しているのかわからない人とー。

『4月になれば彼女は』帯

「この人のこと、本当に好きだっけ?」「好きってなんだっけ?」「でも結婚って恋愛とは違うし。」
こう思ったことのある人は、読んでほしい。
その答えかヒントが、きっとこの本からもらえると思う。

「ずっと好きでいたいのに。」
そんなやるせなさを、ちゃんと言葉にしてくれているような気がした。
ずっと愛を探しているようなこの本を読んで、わたしが感じたことを少しだけまとめようと思う。良ければお付き合いください。

「ずっと好きでいる」ことは簡単ですか?

あのときわたしには、自分よりも大切な人がいた。
それが、永遠に続くものだと信じていた。

「ずっと」という言葉を、簡単だと思っている人がいる。たいていは若い人だ。
この小説の中に出てくる主人公も、その昔の彼女の『ハル』もそうだし、いつかの私もそうだった。

高校生の時付き合っていた人が大好きだったあの頃、私は「ずっと好きでいる」ことは簡単だと思っていたし、当たり前のようにこの人と結婚して、家族を作って、死んでいくとも思っていた。
でもそれは、意外にもあっさりと終わりを告げた。一緒に死んでいくと思っていた相手でさえ、あっさりと終わった。

その次に付き合った人も、離婚をした元旦那でさえ「ずっと一緒にいる」ことが当たり前だと思っていた私は、「永遠」という言葉を信じているだけで手に入れられると思っていたのだ。
「ずっと」の大変さをその時の私はまだ知らなかった。そしてそんな今でさえ、まだ理解できていないのかもしれない。

じっと磨く美しさが見えにくいこの世界で

世の中にはステキで美しい話が溢れすぎていて、この「ずっと」という奇跡みたいなことが当たり前みたいに扱われている気がする。

「ずっと」同じことを続けていること。
「ずっと」同じ信念を持ち続けていること。
「ずっと」一緒にいられること。

「ずっと」を続けた先の美しい結果ばかりが主役になるから、その陰の泥臭さが見えないのだ。

1番を取り続けることが難しいように、「続けていく」という行為にはとんでもないほどの泥臭い努力が隠れている。
本当はその泥臭い部分をじっと磨いていくことこそが、一番美しいはずなのに、と思う。

結局のところ、『愛』は変わっていく。

わたしは愛したときに、はじめて愛された。
それはまるで、日食のようでした。
「わたしの愛」と「あなたの愛」が等しく重なっていたときは、ほんの一瞬。
避けがたく今日の愛から、明日の愛へと変わっていく。
けれども、その一瞬を共有できたふたりだけが、愛から変わっていくことに寄り添っていけるのだとわたしは思う。

永遠に続くと信じたくても、時間を重ねるとどんなものでも必ず少しずつ変化していくのが現実です。

ただ、『愛』は永遠ではないけれど、愛して愛された瞬間が一瞬でもあればそれでいいのかもしれない。そんな一瞬をたくさん集めて、共有して、わたしたちの『関係』というのは続いていくのだと思う。恋人でも、友達でも。

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